cero
メッセージ性の強すぎる世の中だなぁと思っていて、
そんなときに出会ったcero。
Orphansを聴いて久しぶりに惹きこまれたのは、世の中から一脱して、浮いた世界とその心地よさだった。
いろんな意見が飽和しすぎていると思う世の中。
人々が簡単に意見や主張を発信できるからこそなのかもしれないけど、
正直もう、いい。
日本の音楽を探しても、共感を求めさせるものが多すぎると思うのです。
どちらかというと書く人がもつ、その人だけの世界を知りたいタイプの人間なので、
その点でceroというバンドは最高な位置にやってきました。
最初はシティーポップ系だなって思っていたけど、今はもはやなんだかわからない。
音を鳴らしているというより繋いでいるみたいな気持ちよさ。
ぽやっと身体を預けていると聞こえてくる日本語が、またいい。
全てが虚構で、良いも悪いもない。
というか、悪い、がない。
ナルコレプシーにしても、家出にしても、停電も夏の暑さも、
一見マイナスなものを、プラスにはせず、そこに生まれる情を導き出してる。
だから主張も否定も存在しない。
追求された音にあの歌詞がのることで、唯一の世界が出来上がるのだと思う。
あぁ、ここにいればいいんだなぁって気分になります。
勝手に鳴らしているから、勝手に聴いていればいい世界。
こないだ発売されたアルバム「POLY LIFE MULTI SOUL」も非常に良かったです。
急に宣伝ぽい。お金貰ってるみたいだ。
でも、これだけ良いミュージシャンたちの音楽は妥当にもっと売れるべきだと思うし、
こちらも少しでも分かってもらえる書き方をしたいと思う。
こだわりの強いバンドほどお金かかってるはずなのに大衆に評価されにくいからね、、
本当に良いと思ったアルバム買った時とかライブに行った時って、音楽にお金払うってこういうことなんだって痛感する。
だから、きちんとミュージシャンのもとに自分のお金がいって欲しいと思います。
転売に関しては、買った人の払ったお金がミュージシャンには行っていないということを理解してほしい。
全然アルバムの話に辿り着きませんが、
「POLY LIFE MULTI SOUL」ですね。
最初に通しで聴いたときは、一曲の曲を聴いている気分になりました。
それだけ一曲一曲が、このアルバムを構成するためにある曲になっていて自然だった。
全12曲55分が、一曲に聴こえるのです。
アルバムって言ったらその前に出したシングル曲を混ぜるのが一般的だけど一切それがなかったから、テーマを持って12曲を出すということを完璧にやってのけているな、と。
商業的に見たらやっぱり1、2曲は知っている曲がないと売れないと考えるじゃないですか?
それをせず、このアルバムとしての曲がひとつずつ作られていた証拠だと思います。
前作「Obscure Ride」に比べると、少し、というかかなり分かりにくい。
私も数回聴いた時点では、ただ耳を貸す状態だったけど、5回、6回と聴くうちに不思議な心地よさを感じるようになりました。
音に乗れるようになるんです。
本当に。
さらに6回、7回、と聴くうちに一曲に思えていた55分が、だんだんとそれぞれの曲の顔が見えるようになってきました。
でもこの曲がイイ!と思ってそればかりを再生することはなくて、今のところ通しでしか聴いてません。
なんとなく、一曲一曲をバラしたくない、そんな感覚があります。
他に聴いた人がどんな感想を抱くのか分からないけど、ともかく聴かないことにはこの良さは分かりません。
自分が音に入り込んでいる気もするし、音が自分の中に入り込んでいる気もする。
どっちもなのかもしれません。
という、ニューアルバムです。
ceroを聴くならまず、Orphans、Summer Soul、街の報せ、大停電の夜に、辺りを勧めます。
Summer Soulはこの時期聴くと少し暑さをしのげます。
Summer Soulと冷まそうって、天才かよって。
それから、一回聴いて好きとか嫌いとか判断せず、何度も聴いてみてほしいと思います。
きっと、あ、いいじゃん…!って思える瞬間がやってくるはず。
街の報せとか特に。
今挙げたやつは全てYouTubeにありますので。是非。
ということで長くなりましたが、ceroを褒めちぎりました。
ちょうど1週間後はライブに行ってきます。
ライブの感想も書きたいな。